海老の養殖の餌にも使われるミドリムシですが、アクアリウムとして飼っているシュリンプ(海老)にも与えれば普通の餌より成長するのでは?と思い、個人で培養実験をすると…一発で大成功しました!
参考文献
2017年に、海老にミドリムシを与えると美味しく成長するという研究が発表され、その会社を買収したユーグレナ社が、研究を進めています。
微細藻類ユーグレナをクルマエビの飼料として与えることにより 肉質改善を示唆する研究結果を確認しました|株式会社ユーグレナのプレスリリース
三重)ミドリムシでエビ養殖 多気の工業団地で実証実験:朝日新聞デジタル
光と肥料だけで簡単に増やせるとは思えないので、過去の論文などを調べてみました。
まず、ユーグレナの光合成生育に与える光質とCO2濃度の影響という論文では、
- 赤+青>赤>白>青のLEDライトの順番で細胞増加数・乾燥重量(いわゆる光合成量)共に多くなる
- Co2濃度が高いと、より細胞増加数・乾燥重量が増える。
ことが証明されていました。
次に、パラミロン高含有ユーグレナの効率的な培養条件の確率という研究で「独立栄養培養(餌を与えず光合成だけ)を12日間行った後、グルコースを3日間与えると最も成長する」と述べられていました。
次に、ミドリムシの増殖と培養液の濃度条件というレポートでは「5%希釈のハイポネックスが、最も効率よくミドリムシを培養できた」と述べられていました。
最後に、ミドリムシを自宅で培養する方法!ユーグレナは肉眼でも見えるか?というブログ記事で、「肥料よりビール酵母の方が増える」という実験結果を得られました。
今回の実験方法
以上の結果を総合して、
- 通常通り赤青白のLEDライトをつけて、
- CO2を添加して、
- 独立栄養培養12日後に
- 5%希釈の肥料と
- ビール酵母を与える
そうすれば最も多く培養できると仮説を立てました!
まずミドリムシはこちら、藤めだかというお店で買いました。(容器といい色といい検尿みたい)
本当にミドリムシが入っているのか、そして培養後の状態を確かめるために顕微鏡も買いました!理科の実験で使うような本格的なものではありませんが、1,500円で倍率120倍まで上げられます。子供との生物観察や実験ごっこでも使えそうです。
次に、ビール酵母として、参考文献では強力わかもとというサプリが使われていましたが、私が毎日サプリとして飲んでいるエビオス錠があるので、今回はそれを使いたいと思います。
最後に肥料。以下の2点の理由から住友化学園芸「花工場」を使いたいと思います。
理由1:コスパが良い
以下の表のように、1回あたりの金額が最も安いです。ハイポニカの6Lは買うのが現実的な量でないため、対象から省いてます。
野菜を育てる場合に必要な肥料の量
最大量の商品 | 価格※ | 水10ℓ 当たりの量 |
使用間隔 | 金額/1回 |
---|---|---|---|---|
花工場 1200ml |
814円 | 10 ~ 20ml | 1週間に1回 | 6.78 ~ 13.56円 |
ハイポネックス 800ml |
657円 | 20ml | 1週間に1回 | 16.425円 |
ハイポニカ1L | 1,900円 | 20ml | 記載なし | 38円(?) |
メネデール やさい肥料1L |
736円 | 10ml | 1週間に1回 | 7.36円 |
※…2021年2月12日時点のAmazonでの価格です。
理由2:成分に差が無い(今のところ)
植物を育てるには、端的に以下の成分が必要です。
どの肥料にも、上記に書かれている成分が含まれており、窒素:リン酸:カリウムの割合の違いはありますが、今のところ最適な割合を示す論文を探せていません。(あればどのメーカーもその割合にするでしょう)
実験開始
まず、最大120倍の顕微鏡の実力をティッシュを使って見てみます。
す、すげー!画質の悪いスマホで接写していますが、リアルだともっと凄いです。小学生の頃持ってたら変なモノばっか顕微鏡で見ていたと思います。
ミドリムシを置く、肝心のプレパラートもスポイトも無いので、ラップとストローで代用します。
+1,000円の2,500円で、元から以下のものが入っている観察セットも買えるので、こちらの方がおすすめです。
最初の届いた状態の濃密なミドリムシの原液を確認したのがこの動画です。
す、凄くないですか?120倍でこの大きさなので、教科書に載っている、ミドリムシの細胞まで見るには500倍くらい必要ですね。でもまあ私は研究者ではないので、この1,500円の顕微鏡で十分です。
この実験をした時は、まだCO2ボンベ持っていませんでしたので、普通に約12日間の独立栄養培養をします。
洗ったダイソーの容器に500mlの水と、ミドリムシを少し入れ、LEDライトを当てます。
1日目 失敗
しばらくしてからストローで採取して、そこにいるミドリムシの数を調べます。この数を実験前の数とします。
としかったのですが、色々ミスが見つかりました。
- 500mlに約10cc入れたが、拡散しすぎて見つけられない。(水多すぎ)
- プレパラートセットで上からガラス板を被せないと、水滴が表面張力で球体になって、水滴の一部にしかピントが合わず、数を数えられない。代わりにラップの上からラップを被せると、必要以上に水分が広がって尚更観察できない。
- 同じくプレパラートが無いので、顕微鏡を合わせる印がなく、顕微鏡が正しい場所にあるのか分からない。
結果、写真を撮る余裕もありませんでしたが、おそらく生きたミドリムシは3匹はいました。とりあえず、ミドリムシ液を生きたまま500mlの水で薄めることは成功です。
2日目 事故と研究中断
またまたミスを犯します。左の水槽に入れようとしたソイル(土)を溢してしまいました。。。不純物が入ってしまったので、どこかで問題が発生するかもしれません。。。
5日目 奇跡
ミドリムシを放置してから5日経ち、普通に水槽の手入れをしていると、あることに気がつきました。
「なんかミドリムシケース、色が濃くなってない?」
そしてすぐさま撮った動画がこれです。
めっちゃ繁殖してる〜!ストローは落としたあと放置したもの、黒いのは先ほど言った土、場所が変わっているのは土を入れないためです。
9日目
こんな感じで増えました!
12日目 「花工場・エビオス錠」投入
12日経ってこんな感じです。
これに水を足して、
4つに分けます。
- 何もなし
- 花工場1mlのみ
- エビオス錠1錠のみ
- 2と3両方入れる
の4パターンで培養したいと思います。左上、右上、左下、右下の順番です。エビオス錠を完全に溶かそうとしたのですが、めんどくさくなったので固形が残ったままです。でもこれはこれで変化が見れそうなのでよしとします。
混ぜてから分ければ良かったものの、そうしなかったのでミドリムシが沈殿し、左下が優位ですが、変化は分かるので良しとします。
13日目 早すぎる奇跡
まあまた1週間くらいしないと分からないんだろうなと思いながら家に帰ると、衝撃の光景を目にしました。
圧倒的に右下(花工場+エビオス錠)増えてるー!
本当です。嘘つくなら「3日経ったらすごい増えてました!」とか、もっと信憑性がありそうな嘘書くので。信じてください。
色の濃さでは左下が1番ですが、元々濃かったことを考えると、繁殖率はやっぱり右下ですね。エビオス錠を完全に溶かさなかったおかげで、エビオス錠にミドリムシが集まってることが分かります。
結論
今回の実験で以下のことが分かりました。
- 液体肥料かビール酵母を入れると、何も入れない場合より早く増える。
- 両方入れると信じられないくらい増える。
液体肥料は植物のためのものですが、エビオス錠もここまで目に見えて効果があるのを見ると、きっと体に良いんでしょうね。※アサヒ飲料からは1円も貰ってません。