嗜好品として世界中で愛されているコーヒー。日本だけで年間約45万トンも消費されています。それだけ普及していることもあって、実はもう美味しい淹れ方が概ね確立されています。今回はそんなコーヒーの淹れ方をご紹介します。
美味しいコーヒーの定義
そもそも美味しいコーヒーとは何なのでしょうか?最終的に商品として販売する場合、現在でも官能評価がメインですが、その土台になっている科学的な基準が存在します。
Ernest E. Lockhartの「The Soluble Solids in Beverage Coffee as an Index to Cup Quality」という論文の中で、コーヒーの品質を測るときに重要になる、 2 つの指標があると提言しました。
まずはTDSです。TDSとはTotal Dissolved Solidsの略で、日本語に翻訳すると総溶解固形分と言い、抽出中の可溶性固形物がどれだけ抽出されたか、つまり「コーヒーの液体の中に水以外の成分がどれだけ入っているか」です。TDSが高ければ(濃度が濃ければ)強い味わいに、低ければ(濃度が薄ければ)弱い味わいになります。
次にPEです。PEとはPercent Extractionの略で、日本語に翻訳すると収率と言い、コーヒー粕から除去された可溶性固体の質量分率、つまり「コーヒーの粉から何%抽出されたのか」です。PEが高ければ(たくさん成分を抽出できていれば)ビターな味わいに、PEが低ければ(あまり成分を抽出できなければ)酸っぱい味わいになります。
今でもこの指標が使われており、 TDS値1.15 ~ 1.35%と、PE値18 ~ 22%が理想的され、スペシャルティコーヒー協会の「ゴールデンカップスタンダード」と指定されています。
美味しいコーヒーの淹れ方
この「ゴールデンカップスタンダード」の基準を達成する方法も、既にスペシャルティコーヒー協会によって確立されています。
基準として用いられているコーヒーの量が多く、お湯400mlを使う前提で説明されていますので、併せて日本でコーヒー1杯の量として広く使われている150mlの場合についても( )で記載します。
ハンドドリップ
必要なもの
- 中細挽きのコーヒー豆22g(8.25g)
- 93.5℃のお湯400ml(150ml)
- ドリッパーを温めるための93.5℃のお湯
- フィルター
- はかり
- フィルターを入れたドリッパーをカップの上に置き、お湯を注いで温めた後、お湯は捨てる。
- フィルターにコーヒーの粉を入れ、はかりに乗せ、重さをリセットして0gの表示にする。
- すべてのコーヒーの粉が完全に浸るように、50ml(18.75ml)のお湯をコーヒーの粉に注ぐ。
- 30秒間抽出する。
- 残りのお湯350ml(131.25ml)のお湯を、2分30秒から3分間かけてゆっくり注ぐ。
浸漬式
必要なもの
- 中挽きのコーヒー豆22g(8.25g)
- 93.5℃のお湯400ml(150ml)
- ドリッパーを温めるための93.5℃のお湯
- フィルター
- はかり
手順
- フィルターをドリッパーにセットし、お湯で温め、水分を切る。
- フィルターにコーヒーの粉を加え、ドリッパーをはかりに乗せて、重さをリセットして0gの表示にする。
- 100ml(37.5ml)のお湯を注いで、30秒放置する。
- 残りのお湯300ml(112.5ml)を注いで、蓋をする。
- 3分経ったらドリッパーをカップの上に置き、バルブを開放する。(4分以内に排水を終える)
本格的なコーヒーを飲みたい方は完全に再現していただいて、初心者の方でも、実践できるところだけ実践していただければ美味しく飲めると思います。
以上、参考になれば幸いです。