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防腐剤入り目薬の危険性と、ドライアイにおすすめの目薬について

微生物の増殖を防ぐために、多くの目薬には防腐剤が添加されています。しかし、その利便性の代償として様々な副作用を引き起こすとされています。今回は、そんな防腐剤のメリット・デメリットと、患者数が非常に多い疾患であるドライアイにおすすめの目薬について説明します。

防腐剤入りの目薬の危険性

フランスで、防腐剤を含む目薬と含まない目薬で治療された緑内障患者919名を追跡しました。結果、不快感や痛みを訴えた患者の割合は、防腐剤を含まない目薬を使用した患者の内30%でしたが、防腐剤を含む目薬を使用した患者の内58%もいました。

更に、少なくとも1つ以上の目の炎症症状(かゆみや灼熱感、目の異物感、涙のあふれ)を訴える患者の割合は、防腐剤を含まない目薬を使用した患者の内34%、防腐剤を含む目薬を使用した患者の内53%でした。これらの症状は角膜や結膜の損傷による症状と似ています。
Clinical tolerance of antiglaucoma eyedrops with and without a preservative. Results of an unpublished survey in Europe

 

有名な防腐剤として塩化ベンザルコニウムというものがあり、様々な症状と関係していることが分かっています。

1つは涙液層の破壊です。涙液層は、涙の約95%を構成する層ですが、塩化ベンザルコニウムはこの涙液層の機能を弱めます。1975年の研究の時点で、塩化ベンザルコニウム0.01%の目薬の点眼で、目の乾燥が2倍加速することが実証されています。
Effect of benzalkonium chloride on the stability of the precorneal tear film in rabbit and man. | British Journal of Ophthalmology

 

防腐剤が含まれていないことのデメリット

しかし、防腐剤も悪いことばかりではありません。

防腐剤を含まない目薬を使う場合、専用の容器への変更などの影響で、防腐剤を含む目薬を使う場合と比べてコストが上がる可能性があります。特に多い疾患としてドライアイが挙げられますが、ドライアイの場合一日に何度も目薬を差す必要があることを考えると、このコストの増加は馬鹿にできません。
The use of preservatives in dry eye drops

 

コストが増加すると、その増加を最小限に抑えようと使用期限を超えて使う人が出てくる可能性があります。しかし、簡単に想像できますが、防腐剤が含まれていない目薬は細菌が増殖しやすいため要注意です。

目に悪影響があると考えられている成分を含まない、新しい防腐剤の研究が進められていますが、まだ画期的な代替成分の発見には至っていません。

 

 

ドライアイにおすすめの目薬

現在日本では、ドライアイに伴う目の表面の損傷を効果的に改善する可能性があるとして、ヒアルロン酸ナトリウムという成分入った防腐剤フリーの目薬のみが治療に使用されています。したがって、ドライアイの治療は、ヒアルロン酸ナトリウムの目薬に加えて、水分補充のために人工涙液等が併用されて行われます。
Long term treatment with sodium hyaluronate-containing artificial tears reduces ocular surface damage in patients with dry eye | British Journal of Ophthalmology
ドライアイ研究の最前線

 

ヒアルロン酸ナトリウム入りの目薬は、眼科で処方してもらえるものの他に、ヒアレイン®Sという、ドラッグストアで購入できるものもあります。ただし、ヒアレイン®Sは要指導医薬品のため、薬剤師のいる薬局でのみ購入できます。

ヒアレイン®S|製品情報:要指導医薬品・一般用医薬品|目の情報ポータル|参天製薬

 

一方、人工涙液に関しては、第3類医薬品に指定されインターネットでも購入できるものがあります。ドライアイ患者の方では知らない方はいないと思いますが、ソフトサンティアが有名です。

最後に、爽快感・清涼感のある目薬は、確かに気持ちいいですが差し過ぎにも繋がりますので、控えることをおすすめします。以上、参考になれば幸いです。