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運動強度の目安(計算・設定方法)とは?VO2 Max、心拍数との関係について

有酸素運動・持久系競技についてよく言われる運動強度ですが、これは体力のあるなしによって異なり、ランニングで言えば、1キロ5分のペースが高強度にあたる人もいれば低強度にあたる人もいます。では、どのようにしたら自分の運動強度を知ることができるのでしょうか。最近では、スマートウォッチの機能でVO2 Maxと心拍数が測れるようになったので、自分の運動強度の設定にそれらの数値を使えるのではないかと考えました。

VO2 Maxとは

「V」は量、「O2」は酸素、「Max」は最大限を意味する。つまりVO2 Maxとは、運動中に体が消費できる最大酸素量を表す。
ランナーが最大酸素摂取量(VO2 Max)を重視すべき理由. Nike 日本

 

根拠になりそうな論文を探してみると、ありました。「持久性運動中の主観的強度について」という論文です。この論文の趣旨を一言で言うと「運動時の主観的な苦しさの度合いと、心拍数・VO2 Maxは相関がありそうだから実験してみた」というものです。

まず、主観的な苦しさを以下のように数値化しています。

レベル きつさの表現
20  
19 非常にきつい
18  
17 かなりきつい
16  
15 きつい
14  
13 ややきつい
12  
11 楽である
10  
9 かなり楽である
8  
7 非常に楽である
6  

 

被検者は健康な男子大学生(20 - 23才)10名と、女子大学生(21才)7名で、運動内容は、「自転車エルゴメーターを用いて、メトロノームに合わせて毎分60回転でペダリングを行ない、最初の12分間は4分ごとに負荷を漸増し、以後、疲労困憊になるまで1分ごとに負荷を漸増した」というものです。

結果、以下のような相関関係があることが分かりました。Y軸のRPEが、先ほどの表にある主観的な苦しさを指します。

男子被検者においてr-0.899 (P<0.01)の有意な相関が認められ, Y-0.099X+0.785の回帰直線が得られた.また,女子被検者についてもr-0.871(P<0.01)の有意な相関が認められ, Y-0.108X-2.006の回帰直線が得られたが,同一心拍数でのRPEを男子と比較すると, RPEは女子の方がやや低い値を示した.

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%Vo2maxの増大にともないRPEの上昇がみられ,両者の間には男子被検者において, r-0.943(P<0.01)の有意な相関が認められ, Y-0.145X+5.438の回帰直線が得られた.また,女子被検者についてもr-0.895(P<0.01)の有意な相関が認められ, Y-0.136X+4.659の回帰直線が得られたが,同一%Yo2maxでのRPEを男子と比較すると,心拍数の場合と同様RPEは女子の方がやや低い値を示した.

f:id:enjoy-efficient-life:20220101141347p:plain

 

男女差もありますが、ざっくりまとめると以下のような表になります。

レベル きつさの表現 心拍数(回/分) VO2 Max(%)
20   200 100
19 非常にきつい 190 95
18   180 90
17 かなりきつい 170 85
16   160 80
15 きつい 150 75
14   140 70
13 ややきつい 130 60
12   120 50
11 楽である 110 45
10   100 40
9 かなり楽である 90  
8      
7 非常に楽である    
6      

 

この表のレベルを強度(低・中・強)にまとめると、以下のようになります。

強度 きつさの表現 心拍数(回/分) VO2 Max(%)
  200 100
非常にきつい 190 95
  180 90
かなりきつい 170 85
  160 80
きつい 150 75
  140 70
ややきつい 130 60
  120 50
楽である 110 45
  100 40
かなり楽である 90  

 

 

ここで書いている心拍数の上限は200ですが、一般的に最高心拍数は年齢によって下がっていき、「最高心拍数(HRmax)=220 - 年齢」と言われております。そこで、心拍数のみに焦点を当てて、年代別に心拍数のみを一覧にしてみましたので、ご参考ください。

強度 10代 20代 30代 40代 50代
180 ~ 210 170 ~ 200 160 ~ 190 150 ~ 180 140 ~ 170
140 ~ 170 130 ~ 160 120 ~ 150 110 ~ 140 100 ~ 130
100 ~ 130 90 ~ 120 80 ~ 110 70 ~ 100 60 ~ 90

 

以上、参考になれば幸いです。

参考:持久性運動中の主観的強度について 中谷 昭