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【筋トレ】筋肉の種類とその特性のまとめ

石井直方先生の日経Goodayでの連載「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」を集約しました。(1/4)

私の執筆は殆ど無いため広告は付けませんですが、皆さんに共有したい内容なので記事にします。

筋肉の種類とその特性

基本原理から説明していきます。

筋肉には速筋線維(FT=fast twich)と遅筋線維(ST=slow twich)の2種類がありますが、以下のように特性に応じた使い分けがされています。

遅筋線維は酸素を使うことによって、スピードは遅いものの、効率的にエネルギーを生産するシステムを使っています(有酸素性代謝)。一方、速筋線維はスピードがあって大きなパワーも生み出しますが、効率は悪い(無酸素性代謝)という特性があります。ですから、大きな力を出す必要がない場合には遅筋線維を使ったほうが、身体全体として省エネになる。やむを得ず大きな力を出すときだけ、速筋線維を使えばいいわけです。

日常生活での筋力発揮レベルは、せいぜい最大筋力の20%程度。走ったり跳んだりといった特別な動作をしない限り、それ以上の力は必要ありません。そのような普通の生活をしているときは遅筋線維しか使われず、速筋線維はほとんど怠けているという状態になっています。

筋トレには、どのくらいの負荷をかければいいのか:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

ただし例外があります。

例外の1つ目は、瞬間的に大きな力を出す場合です。スタートダッシュで一気に力を発揮するときに、わざわざエネルギー効率の悪い運動単位から使うというのは理にかなっていません。むしろ、出力の大きな運動単位を同時に、あるいは優先的に使ったほうがいい。

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例外の2つ目は、伸張性収縮をしている場合。

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伸張性収縮をする局面というのは、例えばジャンプをしたあとの着地のように、筋肉をブレーキとして使うケース。運動を止めるというのは、運動を引き起こすときよりも命にとっては大事な局面です。身体が壊れたりケガをしたりしないように、確実にブレーキをかけないといけません。当然、筋肉には普段の生活以上の働きが求められます。

そのような場合、サイズが小さく、スピードも遅く、力も弱い遅筋線維から悠長に使っているわけにはいきません。サイズが大きく、スピードも速く、力も大きい速筋線維を使ったほうがより安全だということになります。

「瞬発力」は鍛えることができるか?:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

スピードが速くて持久力もある筋肉は?

筋肉には遅筋と速筋の2種類があると説明しましたが、実験の結果、最終的に3つに分類されることになりました。

一番スピードが速くて持久力のない筋線維はIIx。スピードと持久性とを兼ね備えている筋線維がIIa、一番遅い筋線維がIです。

さらに研究が詳細に及ぶと、いくつかのタイプを併せもっている筋線維があることがわかってきました。例えば、速筋線維のなかにはIIaとIIxの両方をもっているものがある。これは“移行途中”のものであると思われます。IIxからIIaへ移行しつつある状態で、たまたまタンパク質が半々くらいの状況になっているのでしょう。筋線維タイプの移行は、トレーニングやディトレーニングなどによって起こります。

スピードが速くて持久力もある筋肉は?:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

移行が起こるといっても、1つの問題はI型とII型との溝。ヒトを対象にした研究では、遅筋線維と速筋線維との間にはどうしても越えられない溝があるといわれています。例えば、スタミナの必要なトレーニングをすれば、IIxはよりI型に近いIIaにシフトしていきます。しかし、IIaがI型にシフトするかというと、今のところそうはならないとされています。I型とII型とには決定的な差異があり、速筋線維→遅筋線維、遅筋線維→速筋線維という変化はヒトの場合は起こらないというのが定説となっているのです。

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いろいろなスポーツでヒトの筋線維組成を調べると、マラソンなどの持久的な能力が必要な競技選手はI型が多く、スプリンターなどはII型が多いという報告があります。長年のトレーニングによってそうなったのか、それとも生まれつきそういう筋線維組成だったから、そういう競技のトップ選手になれたのか。本来はそういう2つの可能性があるわけですが、現在のところ「生まれつき、その競技に向いた筋線維だった」という解釈を覆す研究報告は出てきていません。

ところが、動物で実験をすると、II型からI型への移行が容易に起こってしまいます。

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ですから、自分は生まれつきマラソンが苦手なんだと諦めてはいけない。努力によって、筋線維組成が変わっていく可能性はあるのです。

マラソン向きの筋肉は、生まれつきか?:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

どんなトレーニングでも筋線維は持久性の高いほうへシフト

速筋線維のIIxは、持久的なトレーニングをすることで、より遅筋線維に近いIIaにシフトしていきます。

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では、持久的なトレーニングではなく、筋力や瞬発的な能力を高めるトレーニングを行った場合はどうなるでしょうか。例えば、ウェイト・トレーニング。筋肉を太くするために大きな力を単発的に出すということを繰り返した場合、上記とは逆に、遅筋線維が速筋線維のほうへシフトすることはあるのでしょうか。

結論からいうと、それは起こりません。

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アメリカのある研究報告によると、投てきなどのパワー系の競技選手、それもオリンピックレベルのトップアスリートの筋肉を調べたところ、IIxに分類される筋肉がほとんどなく、ほぼすべてがIIaになってしまっていたそうです。一般人の場合、IIxとIIaとの比率は1:1~1:2といわれていますが、トップアスリートはIIxがゼロに近いのです。そのくらい、持久的能力をもったIIaに変わってしまっているのです。

ということで、筋線維は基本的にどんなトレーニングをしても、よりスタミナのあるほうへシフトしていく、と考えていいでしょう。

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1回1回の動作は瞬発系ですが、何度も繰り返すということは、結果的に持久的能力も必要になります。また、ある程度のスタミナをつけておかないと、試合で勝ち抜くこともできません。ですから、筋肉の持久性は自然に高まるのだと考えられます。

ボディビルダーのように筋肉を鍛えて太くする場合も、普段のトレーニングでは筋肉をいかに疲労困憊まで追い込むか、ということが重要なファクターになります。すると当然、筋肉は太くなりながらスタミナも併せもつタイプへと、変わっていくわけです。

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レーニングを開始してから、どのくらいの時間でIIxがIIaに移行するのかを調べた研究があります。それによると、2週間くらいで変化が起こる。すべてが一気に変わるわけではありませんが、わりに早い段階で変わり始めるのです。これはIIaからIIxへの変化も同じだと思われます。

どんなトレーニングをしても、筋肉は「持久力がある」方向にシフトする:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

筋肉の発熱について

筋肉を働かせるということは、力を出したり運動をしたりするだけが目的ではないといえます。熱を出すということも筋肉の重要な役割なのです。特に哺乳類が生きるためには熱を出し続ける必要があるため、もともとそういう働きが筋肉に備わっているのでしょう。

 その働きがどのような現象として起こっているかというと、例えば「震え」(シバリング)があります。寒いところに行くと身体が勝手にブルブルと震えるのは、筋肉の収縮に伴って生産される熱を利用して体温を維持しようとしているわけです。これを「震え熱産生」といいます。それに対して、「非震え熱産生」と呼ばれる現象もあります。体内には、震えるような運動をしなくても熱を作る仕組みがあります。

非震え熱産生の熱源としては、まず「褐色脂肪組織」が重要な役割を担っています。これは熱を作ることが専門の脂肪組織で、脂肪をエネルギー源として燃やすことで熱を産生しています。ほとんどの細胞中には、エネルギーを生産するミトコンドリアという小器官が存在しています。褐色脂肪細胞には、このミトコンドリアが多く含まれています。ミトコンドリアは赤っぽい色をしているため、褐色脂肪も全体として褐色に見えます。一方、普通の脂肪細胞はミトコンドリアが少なく白っぽく見えるために、白色脂肪と呼ばれます。

 褐色脂肪は、クマやリスのような冬眠をする動物に多く見られます。これらの動物は秋の間に身体がめいっぱい脂肪を蓄え、その脂肪を少しずつ使いながら体温を維持して寒い冬を乗り越えます。そのときに活躍しているのが褐色脂肪だと考えられます。

もちろん褐色脂肪はヒトにもあり、サーモグラフィーで見ると、主に胸から脇の下にかけて分布しているのがわかります。

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ただ、ヒトの場合、その量はクマなどに比べるときわめて少なく、40g前後とされています。それが脂肪をエネルギーとする熱源として働いているのは間違いないのですが、実際にどのくらい熱産生の役に立っているかというのはよくわからないのです。むしろ体重の約40%(20~30kg)を占める筋肉のほうが、重さとしては1000倍ほども多いのですから、ずっと大きな役割を果たしているのではないかと考えられてきました。

 ところが、10年ほど前から状況が劇的に変わりました。褐色脂肪細胞や筋肉が熱を出すための仕組みに関わっているタンパク質が見つかったからです。

ヒトの筋肉のエネルギー効率は原動機レベル:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

熱に関する研究に大きな影響を与えたそれは、ミトコンドリア脱共役タンパク質(UCP)というものです。少し専門的な説明をすると、UCPは細胞内のミトコンドリアの中に存在し、脂肪のエネルギーを分解する反応系とATP(アデノシン3リン酸)を合成するシステムとのつながりをカットしてしまうという特徴があります。すると何が起こるか。脂肪を分解してきたエネルギーが、ATPを作ることなく、熱になって逃げてしまいます。運動をしなくても、身体から熱が発生するのです。前回説明した「非震え熱産生」ですね。

褐色脂肪の中にあるUCPは、最初に見つかったのでUCP1<ワン>と呼ばれます。UCPの遺伝子には多型(遺伝子を構成しているDNAの個体差)があり、ヒトの場合、UCP1を問題なく作れる人と、作れない人とがいることもわかりました。しかも、作れない人が日本人では約20%もいるのです。UCP1が作れないとどうなるかというと、熱を作る能力が低くなる。つまり、低体温や冷え性といった症状になりやすいわけです。

また、熱を作れない分だけ全体のエネルギー生産も落ちてくるので、1日当たりの消費カロリーが100kcalほど少なくなります。たかが100kcalと思うかもしれませんが、10日なら1000kcal、365日なら36500kcalになります。36500kcalを体脂肪に換算すると5kgほどに相当します。つまり、同じ食事を1年間続け、同じように活動していた場合、UCP1を作れる人に比べて5kg太ってしまうということになる。ですから、UCP1は体質に関わるタンパク質であるともいえ、UCP1が作れない人は、いわゆる「太りやすい体質」ということになります。

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その後、筋肉にも同じ性質のタンパク質があることがわかりました。これは3番目に見つかったUCPなのでUCP3<スリー>と呼ばれ、やはり筋肉の活動なしで熱を生み出します。

 1グラム当たりの熱の生産量で比較すると、筋肉は褐色脂肪よりも小さくなりますが、筋肉そのものの量が褐色脂肪よりはるかに多いため、全体で見るとよりたくさんの熱を発生させていると推測されます。ということで、UCP3が発見されてから、褐色脂肪よりも筋肉への注目度が高くなってきています。また、UCP3は遅筋線維より速筋線維のほうに多く含まれていることもわかりました。ただ、速筋中の速筋であるタイプIIxにはミトコンドリア自体が少ないので、タイプIIaが非震え熱産生の主役だということになってきたのです。

遅筋線維にもミトコンドリアは多く含まれていますが、UCP3が少ないので熱の生産は大きくありません。遅筋線維には小さな力発揮を持続的に長時間行わなければならない使命があるので、無駄に熱を出してしまってはエネルギーの浪費になって困るからでしょう。日常生活で重要な役割を果たしている遅筋線維は、エコにつくられているといえるでしょう。

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筋力トレーニングをすると、速筋線維の中でタイプIIx→タイプIIaの移行が起こり、タイプIIaの割合が高くなります。そういう状態では熱産生が高くなっているため、じっとしているだけでもエネルギーが消費されやすくなっていると考えられます。

逆に、長時間にわたる有酸素運動、あるいはマラソンのような持久的なトレーニングをたくさんこなしている人は、UCP3の活性がきわめて低くなることもわかっています。長時間の運動に対応できるように、無駄なエネルギーを消費しない、燃費のいい筋肉をつくっておいたほうが都合がいいからでしょう。

ということは、有酸素運動をたくさん行って減量した人は、その時点で運動をやめたりすると太りやすくなる危険性があるということ。ですから、特にリバウンドに気を付けたほうがいいということになります。

有酸素運動で減量した人が“リバウンドしやすい”のは科学的な理由があった!:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)

新発見されたタンパク質「サルコリピン」の働きとは?

サルコリピンの機能はまだ十分に解明されていませんが、これもUCP と同様に非震え熱産生の原動力となっています。

筋肉の中には、筋小胞体というカルシウムをため込んでいる組織があります。筋肉が収縮すると、そこからカルシウムが放出され、弛緩するときにカルシウムが戻るという仕組みがあります。サルコリピンは、筋小胞体からカルシウムを外に漏らしてしまう“悪さ”(働き)をするのです。

そうすると、カルシウムをくみ上げるタンパク質(カルシウムポンプ)が活性化され、一生懸命にカルシウムを元に戻そうとします。その際に、ATP(アデノシン三リン酸)が使われ、熱が発生する。この仕組みによって、筋肉が実際に収縮しなくても、カルシウムポンプが働いて熱が生み出されるという現象が起こっているようです。

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こうした実験から、寒い環境のなかでしっかり体温を作れる能力は、褐色脂肪ではなく筋肉こそがメイン。そして、筋肉が熱を生み出す原動力がサルコリピンである、ということがわかりました。ある意味、これは劇的な発見だったといえるでしょう。

ということは、サルコリピンを増やしていけば、熱を生みやすい、寒さに強い体質になっていくわけですが、その方法は現段階では見つかっていません。ただ、サルコリピンは筋肉の中にあるわけですから、その全体量は筋肉の量に比例すると考えていいでしょう。筋肉量が増えれば熱を産生して身体を温める力が自動的に高まり、筋肉の減少は熱を作る能力の減退を意味するので、寒さに弱くなってくる。ですから、冷え性で困っている人は、筋トレをすることで改善される可能性が高い、ということになるわけです。

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サルコリピンが足りないと、冷え性になり、肥満になり、糖尿病になりやすくなる。逆にいうと、これらはすべて筋肉を増やすというアプローチによって、予防、改善できるということになります。今後は「ダイエット」の観点からも、サルコリピンが注目されていくことは間違いないでしょう。

筋肉を増やせば、糖尿病、肥満、冷え性を予防・改善できる?:“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学:日経Gooday(グッデイ)