どの家庭にも必ず1つはある電源タップ。差せるプラグの数だけ気にすればいいと思ったら、寿命・雷ガード・ほこり防止シャッターなど、重要なポイントがいくつかあります。安全で便利に使うためにも、注意して選びましょう!
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電源タップ製造に関する法律
電源タップは、電流さえ流せれば良い訳ではなく、製造するにあたってクリアしないといけない基準が法律で決まっています。それが「電気用品安全法」で、平成22年3月1日から過去10年間に255件(消費者の誤使用175件)事故が起こったことから、その後改正されました。
具体的に以下の内容が定められています。
定格の固定化
- 延長コードセットの定格電流は15A又は20A
- 延長コードセットの定格電圧は125V又は250V
使用電線の限定
- 電線はキャブタイヤコード又は保護被覆を施したコードに限る
つまり、感電しないように安全な素材で覆われているということです。
電線一体成形差込みプラグの絶縁材料の規定
プラグの耐トラッキング性
- コンセントとの突き合わせ面のプラグの外面で、 栓刃に接する絶縁材料は、PTIが400以上
プラグの耐燃性
- 栓刃間を保持する絶縁材料は、グローワイヤ燃焼試験を試験温度:850°Cに適合又は、グローワイヤ着火温度:875°Cレベル以上
- プラグの外郭が塩ビ樹脂の一体成形のものは、栓刃間の保持には、熱硬化性樹脂を使用
栓刃とは、我々が抜いたり差したりする2本の金属です。この金属に接する素材の絶縁性や耐燃性が定められています。
その他、試験義務などが課されています。
電気用品安全法改正について(2012年1月13日改正)
結論として、市場に出ているものは、
- ある程度過大な電流・電圧に耐えられる。
- 十分に安全な被膜で覆われている。
ということが分かります。
コードの寿命
上記の法律から、どの電源タップも製造時点では安全であることが分かりました。しかし、それでも実体は、ただの伸縮性のあるビニール素材。時間が経つと硬化・ひび割れが生じます。では、具体的にどれくらいの期間なら安全に使えるのでしょうか。
電源タップや電化製品に使われているコードである、キャブタイヤコードのメーカー「橋本興産株式会社」のウェブサイトに以下のように書かれていました。
キャブタイヤケーブルの寿命は10 ~ 20年で、用途やメーカー、使用状況によって異なります。しかし実際には、キャブタイヤケーブルの明確な寿命はありません。
そのため、定期的にキャブタイヤケーブルを取り替えている企業もあります。キャブタイヤケーブルが老朽化によって工場の操業が停止し、生産体制に支障をきたすのを防ぐためです。
キャブタイヤケーブルの寿命、耐用年数はどのくらいですか? | 橋本興産
意外と長持ちです。しかし、明確な基準は無いと書かれているように、どういう扱いをしているかで変わってきます。また、ここで書かれている寿命は本当の寿命だと思いますので、安全性や価格も考えると、10年未満での交換をおすすめします。
起こりうる事故に備えて
電化製品である以上、どの家庭でも起こりうる事故がありますが、特定の機能が付いた電源タップを選べば、起こる可能性を低くすることができる事故が2つあります。(扱い方が原因となって起こる事故については最終章で説明します。)
1、トラッキング現象
コンセントにプラグを長期間差し込んだままにすることで、コンセントとプラグの間にほこりが溜まります。そのたまったほこりが湿気ると、通電している電気によって発火してしまいます。このような現象をトラッキング現象と言います。トラッキング現象は、コンセントにプラグが差さっているだけで発生してしまい、電化製品を使っているかどうかや電源が入っているかどうかは関係ありません。
以下の動画は、製品評価技術基盤機構のYouTubeにアップロードされていた、トラッキング現象による発火の動画です。
2、雷サージ
雷サージについては、サンワサプライの説明を引用させていただきます。
雷サージとは
落雷時、電線などの高所にあるものに瞬間的に発生する有害な過電圧や過電流のことです。
電話線、電源線、アンテナ、大気中を通って家の中に進入し、このサージ電圧によってパソコン・ルーターなどの電子機器は、絶縁破壊や誤作動・劣化などの影響を受けます。「雷ガード」は、内蔵された吸収素子(バリスタ)が雷サージを吸収することで、接続するパソコンなど故障を防ぐため、雷サージ対策として最適です。
以上のことから、法律で定められている要件に加え
- ほこりの進入対策
- 雷サージ対策
の2つの対策が必要であることが分かります。ほこりの侵入を防ぐキャップも100円ショップなどで売られていますが、劣化すると中で折れて取れなくなることもあるので、使うときは注意してください。
おすすめ商品を紹介!
それでは、今まで調べて分かったことに基づいて、おすすめの
- 延長コード付きタイプ
- 直付けタイプ
の電源タップを紹介します。タワー型と呼ばれる、縦型で机に置くタイプの電源タップもありますが、すぐに手が届いて便利な反面、机の上がごちゃごちゃして見え、電源タップとコードでスペースも減り、ほこりなどのゴミも溜まりやすいので、机の下に電源タップ用のラックを付けて、吊り下げるような形で固定する方がおすすめです。
Garageのワイヤーケーブルトレーは、39.7cmのSから88.7cmのLLまでありますが、6個口程度の電源タップならSで十分です。
Garage ワイヤーケーブルトレー Sサイズ (PC周辺機器 配線収納 コード収納 配線トレイ) の通販 | ワゴン・デスク周辺用品 | ガラージ 【 Garage 】
延長コード付きタイプ
先ほどの両方の要件を満たす延長コード付きタイプの電源タップを製造しているメーカーは、サンワサプライとエレコム以外は無さそうです。
サンワサプライ:TAP-S18-1(2,132円)
ほこり防止シャッター・雷サージに加え、個別スイッチ、スイングプラグと、まさにてんこ盛りの商品です!
個別にスイッチが付いており、光らないエコスイッチを使用することで更に節電できる節電省エネタップ。ホコリ防止シャッター、雷ガード機能付き。2P・6個口・3m。
エレコム:T-K6A-2625(2,126円)
サンワサプライと同じ機能に加え、
- スイッチが光ること
- 色が白・黒の2色あること
が特徴です。スイッチに関しては、光った方が良い人、光らない方が良い人どちらもいると思います。基本的な安全性基準はどちらもクリアしているので、好みでお選びください。個人的には、スイッチは光った方がオン・オフが分かりやすいのでエレコムの方がおすすめです。
直付けタイプ
こちらのタイプは差し込み口が上を向かないせいか、ほこり防止シャッターが付いているものはありませんでした。
サンワサプライ
エレコム
補足:その他の事故を防ぐために
トラッキング現象や雷サージ事故については先ほど説明しましたが、それ以外にも起こる可能性がある事故がありますので気をつけましょう。
1、束ねたコードの発火
コードを束ねた状態で大きな電流を流すと、コード内の芯線が切れ、異常発熱して発火する危険性があります。最大消費電力(一般的なコンセント1つにつき1500Wまで)に注意して、コードは束ねないで使ってください。加えて、消費電力の大きな電化製品には、なるべく電源タップを使わないでください。
冬場に多発、電源コードの発火事故に注意 NITE呼びかけ | WEBニッポン消費者新聞
2、変形したプラグを使って発火
変形した電源プラグを無理に差して使い続けると、接触不良で異常発熱する危険性があります。
3、アルコールや薄めた洗剤がかかってトラッキング現象
アルコールや薄めた洗剤などを電源タップに吹きかけるとトラッキング現象が発生し、発火する危険性があります。電源タップの掃除はから拭きにして、洗浄液などを拭きかけないようにしましょう。
もちろん、ねじったり上に重いものを置いたり引っ張ったりすることでも断線して、異常発熱・発火する危険性がありますので注意してください。以上、参考になれば幸いです。