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「吸うカフェイン」に対する5つの疑問

JTと言うとタバコのイメージですが、以前から冷凍食品のテーブルマークや医薬品など、タバコ以外の様々な事業を展開しており、現に私もテーブルマークの商品は買うことがあります。しかし先日発表されたstonについては、いくつかの疑問点があります。

吸うカフェイン「ston(ストン)」とは

下記のように説明されています。

カフェイン入りの液体を熱で気化させ、その蒸気を吸う仕組みだ。1本で約250回吸えるカートリッジ(3本入り1980円)は、カフェイン入りと、アミノ酸の一種でリラックス効果があるとされるGABAギャバ)入りの2種

 (中略)

コーヒーやエナジードリンクに比べて、蒸気で摂取すると短時間で効果が得られるのが特徴。加熱式たばこと異なり、たばこ葉は使っておらず、ニコチンやタールといった有害物質は含まれていない。カートリッジ3個で約1カ月分の使用量に相当するという。

「吸うカフェイン」で一休み 気分転換や眠気覚まし―JTグループ発売:時事ドットコム

つまり、飲み物よりも短時間で、いつでも手軽にカフェインを摂取できて、更にGABAも入っているためよりお得、と言う点が強みです。

一見いい商品に思えますが、こういった商品の購入を検討する際(身体に影響するものは特に)、記載されている事項1個1個について調査していく必要があります。重要なのは、その情報を発信しているメディアは信頼できるものかどうかと言うことです。まさに最近話題の血液クレンジングもそうですが、施術をするクリニック自身は勿論それが効果的だと主張します。様々な統計もテクニックで効果があるように見せることができますし、医学論文の中にはその商品が効果的であることを証明するために実験・研究し、得られた都合のいいデータを元に書かれているものもあります。

普段そこまで調べるのは非常に難しいですが、少なくともその商品を販売している会社が発表しているデータは参考程度にしましょう。

カフェインに効果はある?

前置きが長くなりましたが、まず最初に、カフェインにはどういう効果があるか調べたいと思います。

カフェインは、脳に軽い興奮状態を引き起こす作用があり、眠気や倦怠感を一時的に抑える働きが期待される。脳が過剰に興奮すると、副作用として振戦(震え)、めまい、不安、不眠、頭痛を生じることがある。

厚生労働省

カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、アデノシンが本来結合する場所(アデノシン受容体)にとりついてアデノシンの働きを阻害することにより神経を興奮させます。コーヒーは、適切に摂取すれば、がんを抑えるなど、死亡リスクが減少する効果があるという科学的データも知られていますが、カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。長期的な作用としては、人によってはカフェインの摂取によって高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。

カフェインの過剰摂取について:農林水産省

引用元の中でも、省庁が発表しているものは正しい可能性が高いので、今回参考にしました。(ITなど、変化が激しいものは間違っている場合もあります)

つまり、適度に飲む分には眠気や倦怠感を一時的に抑えられて良いが、飲み過ぎは良くない、と言うことです。引用するまでもなく、コーヒーやレッドブル等を飲んでその効果を実感している人も多いので、カフェインについてはこれ以上触れません。

GABAに効果はある?

次にGABAにはどういう効果があるのでしょうか。同様に厚生労働省のウェブサイト内で検索した結果、特定保健用食品に付けて良い宣伝文句についての検討会の資料、簡単に言うと

「こう言う成分が含まれている食品には、こう言う表示をして良いですよ」と言うルール決めの会議資料が見つかりました。

特定の保健の目的に資する栄養成分…γ-アミノ酪酸(GABA)

 

特定の保健の目的が期待できる旨の表示内容…本品はγ-アミノ酪酸(GABA)を含んでおり、血圧が高めの方に適した飲料です。

特定保健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果について

リラックスに関する効果については一切記載がなく、主に高血圧の方のための成分のようです。医療機器メーカー「テルモ」のウェブサイトにも以下のように記載されていました。

「GABA入りチョコレートを食べると、本当にストレスが軽減されるのか」という質問にお答えしましょう。答えは「効果がありません」です。

(中略)

GABAを含んだ乳製品が高血圧に効果があったという報告もあり、GABA入り食品がすべて効果がないというわけではないでしょう。それに、効かない薬でも効くと思って飲めば効果が出ることを「プラシーボ効果」といいます。GABA入りチョコレートを食べればストレスが軽減されると信じて食べれば、効果があるかもしれませんよ。日本の諺ではこうしたことを「イワシの頭も信心から」と言うのですね(笑)。

シリーズ2 第13回 | フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」 | 中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

以上のことから、やはりGABAのリラックス効果については期待できないと考えられます。

カフェインはそこまで気軽に摂取する必要がある?

カフェインには良い効果があると分かったところで、次に摂取の手軽さの必要性について検討しますが、様々な働き方をしている人がいるのでケースバイケースです。そこで、カフェインを効果的に摂取するための量と間隔について検討します。

薬などで、その成分の血中濃度が何時間で半分になるかと言う指標として「半減期」というものが使われますが、カフェインの半減期は以下の通りでした。

生物学的半減期:4時間(2-8時間)

カフェインについて - 食品安全委員会

そして、量については

カナダ保健省(HC)においても、2010年に1日あたりのカフェイン摂取量として、健康な成人で400mg(コーヒーをマグカップで約3杯)まで、カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は300mg(コーヒーをマグカップで約2杯)までとされています。

食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

とされています。つまり、2〜8時間で半分になるカフェインを、1日につきコーヒーマグカップ3杯まで飲むのが効果的ということです。様々な働き方があると思いますが、少なくともタバコのように頻繁に摂取する必要があるものではなく、吸うタバコほどの手軽さは必要無いように感じます。

機械的に発生させた蒸気を吸入することの危険性は?

最後に、普通の水蒸気とは違う方法で発生させた蒸気のようなものを吸入すること自体に危険性はないのでしょうか。そこで、同様の仕組みの最初の商品である電子タバコについて研究した報告書を調べました。

ニコチンを呼吸器系に直接送達するよう設計されたENDS(電子タバコのこと)は,大半の国において規制の狭間となり,医薬品としての規制を逃れ,たばこ製品に対する規制を回避している。現在のところ,ENDS製品が禁煙補助に使用できるか,依存を形成又は維持するか,あるいはニコチン以外の成分を喫煙者に送達するかどうかを評価するための十分な証拠がない。これらの疑問に答えるためには,個人及び集団レベルの臨床試験,行動学的・心理学的研究,及び市販後試験が必要である。健康上の利益,被害削減,又は禁煙における使用を説く主張は,科学的に証明されるまで禁ずるべきである。

電子タバコ蒸気に含まれる有害化学成分

 

「歴史が浅いため直接的な影響はまだ確認できていないが、科学的に証明されるまで禁止するべきである」という研究結果です。他にも一般の記事ですが、実際に被害も出ているようです。

globe.asahi.com

www.excite.co.jp

 

こういった状況からも、吸うカフェインの使用自体が体に悪影響を及ぼす場合があります。

わざわざ飲食品ではなく、吸うタバコを開発する理由とは?

以上、吸うタバコの効果を検討しました。しかし、わざわざ研究費をかけてこんなカフェイン摂取の方法を開拓したのはなぜでしょうか。冷凍食品や、桃の天然水のような飲み物と同様に「GABA入りのコーヒー」でも開発すれば良かったのではないかと思っていました。その点、吸うカフェインによってタバコを吸う習慣が無い人に喫煙に類似する行動を習慣化させることで、タバコを始めるハードルが下がり、喫煙者を増やすためでは無いかと推測します。勿論新しいニーズを開拓したいのかもしれません。

 

いずれにせよ、GABAに効果がない可能性が高いこと、蒸気の吸入自体が危険な可能性があることの2点だけでも、この商品を購入しない理由としては十分ではないでしょうか。

以上になります。この記事が参考になれば幸いです。